「人間と他生物との違いは何か?」
2足歩行、火を扱う、知性、自殺などいろんな意見が出てくるだろう。
しかし、実は「直線を引けること」ではないだろうか?
直線は、この宇宙、大自然には存在しない。
映画『2001年』の「モノリス」が異様に見えるのはそのためだ。
そして、人間は直線を好む。なぜなら、それは不変であり、確かな法則
であり、人間を安心させるからである。人間は有機体であるくせに、有
機的な形に不安を感じる。それは、曖昧なものであり変化し続け、いつ
かは滅びることを感じているからだ。
直線はどんな形状よりも美しく、人を本能的に安心させる。
ANDOはそのことを熟知し、その直線に新たな不安を持ち込むことで誰も
成しえなかった「静謐な緊張感」という独自の表現に到達した。
開催中の安藤忠雄展はエキジビションとしても素晴らしい。新国立美術館
を訪ねることは、同時代のあらゆる表現者にマストである。